記事投稿日: 2015年4月19日
ダイアナ・ウィン・ジョーンズといえば、
「ハウルの動く城」の原作者(和書名『魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉
』)、といえば、日本ではうなずかれる人が
多いと思います。イギリスを代表するファンタジー作家の一人で、
特に「魔法」、「異世界」、「パラレルワールド」をテーマにした作品に
優れたものが多いことで知られています。
代表作のひとつ「クレストマンシー」シリーズは全作品読みましたが、
もうすぐ40になりそうな大人が読んでも面白い。
映画化になっていないのが不思議なくらいです。
ありとあらゆる世界を簡単に行き来し、呪文を唱えることもなく
大きな力を使える「大魔法使い」たちの物語。この設定を聞いただけでも
ワクワクしてしまいます。
さて、「時の町の伝説」は、初期の頃の作品で、出版されたのは1987年。
主人公は1939年、第1次世界大戦のさなかにあるイギリスから
田舎に疎開する少女なのですが、「時の町」で身に付けることになる、
とあるベルト。
これがなんとも…「ウェアラブルコンピュータ」ではないか! と驚いた次第です。
ボタンを押すと、手のひらに光る時計があらわれたり、
お店でお金として使える「クレジット」の残高が現れたりします。
また、メガネなしに焦点を合わせてくれたり、懐中電灯がわりに
あたりを照らしてくれたり、はては軽量化機能というもので、体を軽くして
移動を簡単にしてくれたり。
1960年台~70年台の SF を読むと、2000年代の科学は
まだ当時の人々の想像(イマジネーション)の範疇でしかないんだ…と
唖然となります。インターネットがない時代の方が、人々は
想像力が豊かだったのかな、とそんな気もしてきます。
まだ読んでいる最中ですが、このお話はどちらかといえば、
いつものジョーンズ氏の「魔法」ではなく、「SF」に近いので、
少し調子が違いますが、「今」、現代だからこそ読んでみると
面白い要素を発見しました。
ジュール・ベルヌが潜水艦や原子爆弾、月ロケットなど、
あらゆる科学の進歩を見越してSFを書いたのに通じるものを感じた次第です。
コメントを残す