エディタとIDEの話 | Notepad++ | みどりのウェブ開発日記

エディタとIDEの話

カテゴリ: Notepad++, 開発

記事投稿日: 2013年3月5日



develop tool

【最終更新: 2017年2月22日】

プログラムを制作するには
選択肢が2つあります。
軽い「エディタ」か、
統合開発環境と呼ばれる「IDE」を使うか、です。

組み込み系の人に、ウェブアプリを開発するのに
どんなツールが必要なのか、いくらかかるものなのか、
尋ねられることが増えてきたので、まとめてみました。

エディタでも、ウェブアプリは開発できる

たとえば、ウェブの開発言語として人気の高い PHP。
この言語のデメリットとメリットが表裏一体になっていることはよく言われています。

少しいい加減に書いても、
プログラムが動き、かつ小規模のサービスなら
フリーソフトのエディタでも作れる、という手軽さ。

比較的安いレンタルサーバでも充分使えるので
PHP を採用している中小企業は多いです。
それだけ、PHP で出来ることは多く、
少しのコードで高度なことも出来るのです。

何をするにも重たいIDEが必要な、組み込み系とは
ここが決定的に違うと思います。
PHP だけでなく、Ruby も、Python も、エディタで作れます。

文字化けの問題をのぞけば、
Windows の「メモ帳」でも開発できないことはありません
(実際には文字コードの問題が解決できないのでおすすめはできません。
が、少し前までは、PHP をシフトJIS で開発しているところもありました。
今はなくなっていると信じたいものです)。

では、エディタの有名どころを紹介しておきましょう。

・PHP エディタ
http://phpspot.net/php/phpeditor.html

・サクラエディタ
http://sakura-editor.sourceforge.net/download.html

・Brackets
http://brackets.io/

・Sublime Text
Sublime Text

・Atom
https://atom.io/

・Visual Studio Code
https://code.visualstudio.com/

・Notepad++
https://notepad-plus-plus.org/、USBで使えるポータブル版もあります。

日本の業界的には、秀丸エディタが人気が高いそうです。
が、ウェブ業界、ということを考えると、上記のいずれかを選ぶかと思います(昔から秀丸エディタを使っている人には異論があるでしょうが、初めて選ぶ人には、ということで)。

最近は、エディタにもかかわらず、IDE にもせまる高機能を持つものとして、Atom や Visual Studio Code のようなものがあります。
が、「軽くてすぐ使えて、大容量のファイルを開いても落ちない」というエディタを使っていると、どうしてもそれらは「高機能すぎる」気がします。

※すぐ書けて、落ちない、という信頼性(「エディタ」の用途、イメージ)でいうと、私個人は「Notepad++」をずっと使い続けています。

※ 主に CUI 環境で使われるエディタで、vi(vim) や Emacs があります。
この2つは、Linux ユーザや、サーバの管理者に広く浸透しています。
キー操作がかなり特殊なため、習得までにかなり時間がかかりますが、高度な処理をマウスを使わずに高速にこなせるようになるため、熱心なユーザが多いことで知られています。

vi は、多くの Linux ディストリビューションで最初から使用できる状態になっています。
SSHで接続し、サーバ上の設定ファイルを修正する場合、ほとんど vi を使うことになります。
そのため、ファイルを開いて更新したり、キーワード検索をするくらいの操作を学んでおくと、サーバの管理者でなくとも出来ることが広がります。
繰り返しますが、習得に時間がかかるため、万民向けのエディタではありません。
直感的に、いまどきの機能をすぐに使いたい、というのであれば、前述にご紹介したエディタのいずれかをおすすめします。

あなたの会社が選ぶ IDE は? 無料で重たい IDE? 有償で高機能な IDE?

IDE(統合開発環境)の良いところは、関係者全員で
ルールを統一化さえしておけば、
共同作業がはかどることでしょう
(ルールがちゃんと守られればの話では
ありますが)。

バージョン管理機能も使えるので、たとえば
よく使うソースや、スニペットと呼ばれる
短いコードを社内で共有化・資産化して
使っていくこともできます。
ルールが統一されたコードでないと、管理が大変なのです
(グループで開発する際には、IDEを用いるか、CIと呼ばれるツールを使う必要がありますが、CIについてはここではとりあげません。
それらを使わないと、人によってかき方が異なるのでチェックが大変になります)。

また、プラグイン機能があり、
便利な機能を選択するだけで、
必要なだけ、手軽に増やしていくこともできます。

IDE のほとんどは、入力するそばから構文チェックが働きますし、
プロジェクト全体のエラーチェックもできます。

さて、IDE のデメリットは、充実した機能を
あらかじめ持っているため、重たいことです。
いらいらして、もうエディタでいいよ!
とあきらめてしまう人がいるくらい、重いのです。

ただ、大きなプロジェクトになるほど、
IDEの力なしではとてもやっていけないと思います。

無料の Eclipse は重たいですが、
有料の IDE はストレスになるほど重くもなく、
より便利な機能があるようです。

IDE の有名どころは(無料のものは)以下の通り。

・Eclipse (重たいIDEの代表格)
http://www.eclipse.org/downloads/

・Aptana Studio (開発が止まりつつある?)
http://www.aptana.com/

・Netbeans IDE (現在も開発が熱心)
https://ja.netbeans.org/

私個人は、Netbeans IDE を使っています。
有償では JetBrains 社の製品が高品質です。PHPでは、PhpStorm が最強との声が多いです。過去、1年半の間、使ったことがありますが、これに勝る IDE は思い浮かびません。動作も重くないので、毎年かかるライセンス料金と英語メニューが気にならない人にはおすすめです。

会社が有償の IDE を選択できるか、というのは難しい問題ですが、ベンチャー系の企業は当たり前のように採用しています。
あきらかに効率が良いからです。手作業で行うか、プロフェッショナルな道具で行うか。利用者として考えた時、どちらの方が信頼しやすいでしょうか。

無償でもいいのですが、道具にはこだわりましょう。

高機能化が進む新しい「エディタ」の登場

ここ数年、エディタの軽快さと、
IDE の便利な機能の両方を併せ持つ、
優れたエディタが登場してきました。

有料ですが、その先陣を切った有名なのが
SublimeText」です。
コーディングが格段に早くなる
「Zend-Coding」の次世代版、
「Emmet」をいち早く取り入れたことから
現在もファンがたくさんいます。

私も「Emmet」を知って、これは
買いだと思いましたが、
ふだん使っている「Notepad++」でも
使えないのかな?と探してみたところ、
対応していました。心の中でガッツポーズでした。
Plugin Manager から選ぶだけで導入できます。

こちらは無料ですし、
USBメモリやDropboxに入れて使うことができる
ポータブル版というのもあり、どこでも同じ設定で
開発できるというのは大きなメリットです。

数年前は、Notepad++は、
まだ「窓の杜」くらいしか記事がなかったのですが、
最近では一般のブログでも
記事を書いている人が目立つようになりました。
日本でもようやく知っている人が増えてきたので
嬉しいかぎりです。
このブログでの記事も、人気があります。
まだ一般的ではないのは、プラグインがすべて英語なので敬遠する人が
多いのだと思います。このブログでも順次ご紹介しています。

そして、ソーシャルコーディングを提供する GitHub が開発している「Atom」、
マイクロソフトが開発している「Visual Studio Code」では、
IDE並みに構文チェックやテスト、デバッグが行えるようになりました。

また、大きなファイルだとよく落ちるのですが、
HTML、CSS、JavaScript だけでしたら、Adobeが開発している「Brackets」がおすすめです。

これから開発に入る人では、「Atom」か、「Visual Studio Code」からという人が多いでしょう。
それらは、IDE に迫るパワーを持っていますが、同時に消費するメモリも多くなっています。
小さな会社の安価な(または非力な)マシンでも開発できるか、に着目すると、どうしてもエディタよりになるかと思いますが、年々、その溝は小さくなっているようです。

まとめ

個人的には、エディタ派ですが、ツールには貪欲に挑んできました。
一時期、Eclipse にはまったこともありました。
データベースの設計から、バージョン管理まで
一本でできてしまうところに魅力を感じたのです。
ポータブル化までして頑張って使っていましたが、
結局、どうしても動作が重たくて、エディタに戻ってしまいました。
そうした紆余曲折を得て、こうした記事を書いています。

近年、エディタは高機能化し、コンソール機能を備えたり、
Emmet のような追加機能をプラグインとして導入することが
ますます簡単になってきています。

昔はIDEにしかなかった、よく使うコードをストックしておける
スニペット機能も、エディタで標準実装しているものもあります。

また、ブラウザベースの IDE も登場しています。
例えば「Cloud9」は、ウェブ上でIDEが使えます。
サーバやデータベースまで丸ごと、すぐに使いはじめることができるので、プロトタイプ版なら、ブラウザからでも高速にアプリを開発できます。
現在は、クレジットカードでの認証が必要ですが、基本機能はすべて無料で使えます。
私も、いくつかの個人的な用途で使っていて、おすすめできます。

まとめとしていえることは、ウェブ開発では選択肢が実に豊富になっています。
個人的には、Notepad++ と Cloud9 で動くものをとにかく高速で作成し、
開発の半ばからは、NetBeans IDE で構文チェックしつつ…という使い分けをしています。

この記事では、エディタ、IDE、そしてIDE並のエディタについてとりあげました。
用途によって適切なツールを選ぶことができる一助になれば、幸いです。








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