記事投稿日: 2012年9月12日
ホームページの制作は、大きなサイト/サービスになるほど、
比例して、たくさんの人の力が必要になります。
デザインだけでも、HTMLだけでも、
人気のあるホームページは作ることができません。
関わる人すべてが、それぞれの出来ることを確認しながら
開発という工程を進めていく必要があります。
私はコーダー兼、PHPやRubyなどのサーバサイドのスクリプトや、
JavaScript、jQueryを主に使ってシステム開発をこなすウェブプログラマです。
サイトを作っていく時に共同で作業するデザイナーさんは、
紙の媒体を主力において活躍されている人が多いです。
その際、ウェブと紙とで作品の作り方が違うことを説明することが
ありますが、今後も毎回同じことを繰り返すのも手間なので、
こういう覚書を作ってみました。
ご意見のある方、ぜひコメントをお寄せください。
まず、デザイナーとコーダーの役割は、
大きく分けると以下のようになると思います。
デザイナーの役割
・サイトの運営方針に沿ったデザインの制作
・サイトのテンプレートの制作
(タイトル、ヘッダー、フッター。サイト全体の世界観の統一)
・ユーザビリティ、可読性を考慮したインターフェースの構築
コーダーの役割
・デザイナーが制作したデザインを活かしたまま、
検索エンジン向けにホームページの構造部分と最適化し、
デザイン部分を別ファイル(スタイルシート)にまとめて切り離す
・制作後に検索エンジン向けのサイトマップを作成する
※他にもプログラム的な業務を行うこともあります。
以下はコーダーの視点から、デザイナーさんに
おさえてもらいたい要点をまとめたものです。
Yahoo!Japanやauをはじめ、
有名サイトのページの幅のトレンドは、
950px ~ 1,020px 前後となっています。
外枠や影を付ける場合は、その太さも考慮して、
幅を決めてください。
参考サイト
サイトデザインの横幅の基準はこれだ!お役立ち記事まとめ&事例9選で何ピクセルかもう迷わない
ホームページでは、タイトルやバナーをのぞいた、
いわゆる、ユーザーに「読ませる」文章は、
画像ではなく、テキストデータにします。
デザインする時は、画像とテキストデータを
見分けられるよう、装飾なしのプレーンテキストを
使用してください。
※プレーンテキストの出力は、Illustratorでは
できないようです。一般的に、ウェブデザインは
Photoshopか、業界スタンダードの「FireWorks」
を使用します。
Photoshpでは、プレーンテキストをデザインに
組み込むことができます。
下記サイトを参考にして下さい。
・参考サイト
「IllustratorからPhotoshopヘファイルの書き出し」
http://dis.ne.jp/blog/topics/2900.html
画像ではなく、プレーンテキストを用いる理由は、
「見る人がブラウザのメニューを使ってサイズを調整できる」
「検索エンジンは、画像を無視し、テキストを読む」
「コピペで使いまわせるので、ツイッターやFacebook等で
情報が広められやすい」といった利点があげられます。
コーディングという作業を行えば、
画像にも文字情報を与えることが可能になりますが、
ページの見出し、メニュー、コンテンツの本文は、
なるべくプレーンテキストでデザインすることを
基本にして下さい。特に見出しは、検索エンジンが最も
重要視する要素なのでプレーンテキストが推奨されます。
・参考サイト
「見出し要素をシンプルなHTMLで美しくスタイルするテクニックのまとめ」
http://tinyurl.com/6om5999
ページの世界観を構築するため、メニューや見出しに
凝ることは大切ですが、ユーザビリティ、サイトの
売上向上といった要素も考慮してデザインできるよう、
自分なりのルールを作ってみてください。
2012年ごろまで、ウェブ業界標準の画像作成ソフトは
「FireWorks」でした。
これは、Adobeファミリーのソフトであるため、
DTPで使われるaiファイルやeps、psdも読み込めます。
ただ、カンプや、大きなイメージ画像の場合は、
ページを軽量化するため、パーツごとに細かく分割して
書き出します。
この時、Fireworksのスタンダードな保存形式である
「PNG」だとスライスと呼ばれる書き出しの作業を効率よく行え、
時間を短縮することができます。管理も大変簡便です。
要素が多いカンプほど、書き出しに時間がかかるので、
コーダーにデータを渡す時はPNGでお願いします。
現在、FireWorksは開発が終了したため、
「Sketch」といった新しいウェブ用の画像編集ソフトが出てきています。
どのソフトであっても、印刷系の大きなファイルではなく、
最適な形式を確認し、渡すようにお願いします。
DTPは印刷のためCMYKモードでデザインを行いますが、
ウェブはモニタ上で表示するため、RGBモードを使用しています。
グラデーションを使った時に、特に違いが顕著に
表れます(CMYKよりRGBは色数が多いため)。
制作の際には、色数のモードに注意してください。
・参考サイト
「WEBクリエイターはCMYKに要注意!」
http://yourcolor.seesaa.net/article/109894957.html
DTP業界でもおなじみだと思いますが、インストール
されていないフォントの入っているデータを受け取った場合、
いわゆる「代替フォント」に置き換わってしまいます。
データを送付する前にラスタライズで画像にしてしまうか、
フォントデータも一緒に添付するようにしてください。
ウェブのデザインの基本は、基本的には「表組み」、
「ブロック単位」で構成するもの、と考えてください。
苦手なのは、「要素の重ね合わせ」です(不可能ではありませんが)。
ウェブでは、インターネット・エクスプローラをはじめ、
FireFox、Safari、Chromeとさまざまなブラウザがあり、
それぞれ、微妙に表示方法が異なっていて、
規格が統一されていません。
たいていのデザインは、ウェブページにできますが、
複雑になるほど、作業工程が増えていき、時間と費用がかかります。
疑問に感じることがあれば、作業の前にコーダーに相談して下さい。
最近の流行は「モバイルファースト」で、
スマホやタブレットでも、PCでも同じデザインで作ることができる、
「レスポンシブ・ウェブデザイン」というものです。
代表的なのは、「Bootstrap」と呼ばれるフレームワークで構成されたものです。
公式サイトにアクセスして、ブラウザの大きさを変えてみてください。
幅の大きさに応じて、レイアウトが変更されると思います。
レスポンシブ・デザインでは、幅がスマホの大きさになった時、
ロゴやフォントの大きさを変えたり、表示しない/あるいは表示する項目を作ったりすることができます。
どんなことが可能か、コーダーとよく打ち合わせることで、
最適なデザインが組めることと思います。
以上です。
Firefox、Safari、Chromeは自動的に最新バージョンに
更新される仕組みなので、それぞれの最新バージョンに合わせての
コーディングが必要になります。
インターネット・エクスプローラ(IE)は、複数のバージョンが
存在し、それぞれ、独自のバグを抱えているため、
長い間コーダーの悩みの種となっていました。
2012年のはじめから、マイクロソフトがIEの自動アップデートを
実施していることから、バージョン8と9のみに対応させる
風潮になり、最終的にマイクロソフトがサポートするのは、
現在ではバージョン11のみとなりました。
※IE6については2010年あたりから、Yahooをはじめ、Google、YouTube、Facebookも
サポート外と明言していました。…が、それでも6と7を使う人はなかなか減らず、
コーダーにとっては苦難の歴史でした。
※参考サイト
「IE6の“葬儀”行われる Microsoftから献花も」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/08/news030.html
※2011年まで、IEはバージョン6、7、8、9を使用するユーザーが
多数存在していました。
6と7が、バグの巣窟で、HTMLの規格通りにコーディングが
できないことが大変多く、セキュリティも問題視されていました。
2012年より、WindowsXPとVistaはIEをバージョン8に、
Windows7はバージョン9に自動的にアップデートされることに
なりました。
※参考サイト
「Internet Explorer の自動アップグレード、日本でも始まる」
http://news.mynavi.jp/news/2012/03/30/159/index.html
ユーザーが自動アップデートを拒むこともできるため、
100%の切り替えが行われたと断言することはできませんが、
実際、2012年に入ってから、IE6と7のユーザはめっきり減ってきています。
・参考サイト
「アメリカも IE6 シェア 1% サークルに仲間入り」
http://hyper-text.org/archives/2012/01/ie6_below_1percent_usa.shtml
2012年に入ってからは、バージョン6と7に対応させる場合、
10%以上の料金を追加するという会社も出てきました。
(「株式会社まぼろし IE6, 7対応費用に関しまして」
http://maboroshi.biz/news/article004.html)
2012年中には、Windows8(IE10)も登場し、
6と7についてはサポート外に踏み切ってもいい時期に入りました。
システム系のサービスを構築する際には、推奨環境を明記します。
現在では、WindowsXPのサポートが切れたことにより、
IE10もサポート外になり、コーダーにやっと夜明けが訪れました。
長くなりましたが、現在のマイクロソフトの主要ブラウザは、
IEのバージョン11と、Edgeのみとなったのです。
ウェブのデザインでは、制作後、しばらく時間をおいたり、
別のPCで見た時に、デザインが崩れていることが見つかり、
よく問題になります。たいていは、ブラウザの違いからくるものです。
新しいブラウザが登場したり、古いブラウザでのみ確認していると
デザインが崩れるケースが多いので注意が必要です。
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